2016年7月15日金曜日

もう一つの危険な賭け?USD/ZAR売り

危険な香り?投機的なNZD/ZAR売りでNZドル売り南アランド買いを紹介したが、実はもう一つ同じくらい強い通貨がある。それがUSドルだ。NZDとUSDにはどういう差があるのか?経済の強さ、政策金利、政策スタンス、通貨の地位という4つの観点から比べてみる。

まず経済の強さだが、こちらは僅差でニュージーランドに軍配が上がる。米国経済は悪くはないが、ここのところ少し成長が鈍化している。それに対しニュージーランド経済はまだ減速はしていない。だがニュージーランドは酪農と畜産以外に目立った産業がなく輸出依存であるので、中国経済が悪化すればオーストラリアととも大きな影響を受けることになる。米国も中国の影響は免れないが、経済規模を考えればニュージーランドよりもアメリカに投資したほうが安心だろう。ということで、経済面でより売られやすい通貨はNZドルだ。

次に政策金利だが、こちらもニュージーランドのほうが高い。ただし、8%を超える高金利だったリーマンショック前とは違い、現在のニュージーランドの金利は2.25%で、0.5%の米国と昔ほどの金利差はなくなっている。高金利なのには大抵理由があるが、一般的に平常時は金利の高い通貨のほうが買われやすいので、金利面でより売られやすい通貨はUSドルということになる。

政策スタンスについてはどうだろうか。実はニュージーランドは、金融危機後に二度利上げに失敗している。2010年と2014年に利上げをしたがうまくいかず、すぐに利下げをしているのだ。しかも現在の金利は金融危機後に設定した2.5%よりも低くなっている。さらなる利下げもささやかれるので、ニュージーランドの金融政策は中立か緩和的である。一方の米国は、2015年12月に金融危機後初めて利上げを行った。そして今年も様子を見つつ利上げをにおわせている。となると、米国の金融政策は中立か引き締め的だ。緩和的政策をとる国の通貨のほうが売られやすいので、政策面ではアメリカドルよりもNZドルのほうが売られ安いと言える。

最後に、通貨の地位はどうか。USドルは、言わずと知れた基軸通貨だ。最近は逆の現象が起きて売られることもあるが、「有事のドル買い」という言葉があるように世界で最も力のある通貨とみなされるUSドルは有事には買われやすい。だが実は、USドルは既に各国通貨に対してかなりの高値にあるのだ。これを考えてみると、市場が既に有事にあるのではなく、欧州やアジア各国の緩和的な金融政策が結果的にドル高をもたらしている、というほうがしっくりくる。ドル高が始まったのもECBの国債無制限買い取りが始まったのも2012年であるので、その影響だと考えるのが妥当だ。実はニュージーランドの通貨高も2012年から始まっているので、こちらも世界の中央銀行の金融緩和の影響を受けているようだ。どちらも同じように緩和マネーが流入していて通貨高だが、USドルは基軸通貨でもあり流通量も桁違いであるので、リスクオフが進んだ時により売られやすいのはマイナー通貨であるNZドルだろう。

以上のことから、金利の高さではNZDが魅力的ではあるが、投資対象として見た場合その他の面ではUSDのほうが上で、リスクオフで利益を見込む投機的な取引であることを考えると、USD/ZAR売りよりもNZD/ZAR売りのほうが日の目を見やすいはずだ。米国が再び緩和に踏み切りドル安になる可能性ももちろんあるが、基軸通貨であるUSドルがNZドルよりも大きく売り込まれることはないだろう。USD/ZARは会社によっては取引があるが、取り扱いがない場合はUSドル1万通貨売りに対して南アランドを14万通貨買うという2つの取引が必要となる。南アフリカランドという通貨自体が投機的なので大金はかけられないが、プラス金利で放置出来てリスクオフ時の値動き次第では利益が出るかもしれないトレードなので、外から眺めるか少額のみ投資するならおもしろいかもしれない。

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