2016年7月30日土曜日

切り崩されるGPIF。しばらくは円高先行か?

GPIFの2015年度の運用成績が発表された。このGPIFという巨大なクジラを軸に、一つ想定されるシナリオを考えてみる。円高が先行して進み、株がそれに追随するというものだ。

まず、GPIFの発表を元に資産を表にしてみる。GPIFには140兆円の資産があり買い余力が7兆円ほどあることがわかる。GPIFは非常に大きな機関投資家なので、派手な動きは出来ずポートフォリオ見直しは緩やかなものになる。さらに、下手に株や債券を売ると市場が大きく下落しかねないので基本的には押し目買いのスタンスだと思われる。そうなると、普段は現状維持で資産価格が下落した時に入ってくると考えられるが、GPIFを苦しめる要因が一つある。それが恒常的な円高圧力だ。

日本は経常黒字国なので、その通貨である円には常に通貨高圧力がかかっている。さらにドルは未だに高値水準にあるので下落余地は十分だ。ここにさらに短期の投機筋が加わったらどうなるか。進む円高により何もしたくないGPIFのポートフォリオの構成割合が変化する。今年3月末時点のドル円は112.56円であった。それが1ドル100円になり、GPIFの外国資産が全てドル建てであったと仮定すると、GPIFの総資産は135兆円になり国内資産の割合が増加し海外資産の割合が減少する。そこで減少した資産割合を上げるために海外資産を購入するとGPIFの買い余力が削られる。さらに、既に国内資産の割合は上がっているので買いづらい国内資産を買い支えるのが難しくなる。

つまり、投機と実需による円高で減少した海外資産を購入するために買い余力が減り、同時に国内資産割合は上昇するので買い支えがしづらくなる。現在の債券高と株高は日銀と公的年金により演出されている面があるので、それを失えば市場の平穏は崩壊しかねない。そして、GPIFは円高によって切り崩すことが可能だ。日本は為替操作国にこそ認定されていないが、監視リストに載っており円売り介入は難しい。リスクオフムードや短期筋による円買いで円高が進んだ場合、GPIFはじわじわとその力を奪われることになり日本市場は大きな後ろ盾を失うことになるかもしれない。

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