2016年7月11日月曜日

自書式投票の是非

選挙がある度に毎回、「海外では丸を付けたりもしますが日本は識字率が高いので候補者名を書いています」というような報道を見かける。識字率が高いのは素晴らしいことだが、自書式にすることには無駄を感じる。最低でも記号式投票、出来れば電子投票やインターネット投票を実現してほしい。

例えば、平均で丸を付けるのに2秒、候補者名を書くのに10秒かかるとしよう。投票者数を6000万人とすると、一度の選挙で投票に費やされる時間は前者では3.3万時間だが、後者では16.7万時間にもなる。その差13.3万時間。選挙がある度に、この13万時間がインク代をけちるために費やされるのである。選挙にかかるお金と時間、これでいいのかと考えてしまう。自書式をやめてもインク代がかからない方法といえば、例えば候補者の届け出順もしくはランダムに番号やアルファベットを割り振ったポスターを見やすいところに貼り、紙には記号のみを印刷してそれに丸を付けるなどといったことも考えられるが、どうだろうか?

不正投票の可能性を考えると自書式が優れているかもしれない。後から他の候補者名を書き足したものはおそらくわかるが、丸が二か所に付いていてもどちらが先に書かれたものかわからない。前提として、選挙管理委員会が不正を監視しているはずなので、そのような事態は起こらないはずである。ただそのようなものが見つかった場合、不正投票が疑われ何らかの審議にかけられるだろう。そうなった場合、按分されるのか無効票になるのかはわからない。それでも、自書式でよく言われる一票の重みという政治家に都合のいい曖昧なもののために自書式投票を続けるより、記号式にして無駄に費やされる時間をなくせるほうがいいと思う。

選挙にかかる時間だけでなく、お金ももったいない。選管はたくさんの人を雇ってマスメディアも大忙しでちょっとした経済効果もあるのかもしれないが、選挙に使われているのは税金である。選挙運営利権などもあるのではないかと邪推してしまう。メンテナンス費用は多少かかるが、電子投票ができる機械を導入したり、いっそインターネットでオンライン投票にしてもいい。電子投票でも機械の細工や集計段階での不正などは考えられるが、開票作業が不要になるメリットは大きい。インターネット投票も同様に不正の可能性はあるが、インターネット回線さえあればいつでもどこでも投票できるのは理想的だ。投票方式を変えても新たな利権の可能性があったりある程度の費用はかかるが、有権者の利便性と選挙にかかるお金をもっと考えるべきだ。

株主総会ではインターネットを利用したオンライン投票を採用している会社も出始めている。やろうと思って出来ないことではないのだ。目先の経済対策やわかりやすい公約だけが注目されて、こういった細かな不便が長年にわたって見逃されているのは残念である。

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