資産運用で最も重要なのは何にいくら投資するかというポートフォリオの考え方だ。資産と言えば通常は現金と金融商品のみを指すことが多いが不動産や貴金属に美術品骨董品なども含めることができる。アメリカでは株と不動産など資産クラス別のリターンを比較した研究が多くあるが株が基本的に一番リターンがよい。不動産はより事業的となりお金も時間も必要となるので人口が減り続けて不動産需要の低迷する日本ではよほどの理由がない限り選ぶ必要はないだろう。なのでここでは金融商品を中心とした話をする。
主な金融商品としては株(現物・信用)、先物・オプション、為替(FX)、商品先物といったものがある。商品先物や海外指数取引は専門業者もあるがCFDを扱っている証券会社であればそこでまとめてできる。FXはCFDの一種なのでCFDは原資産こそ違うがFXと似たようなものと考えてよい。この中でも王道はやはり株式投資だ。株以外の金融資産は日常的な監視と手入れが必要なので時間とお金と興味があって初めて選択肢に入る。他の資産と株の最大の違いは「会社が倒産しない限り無期限にお金を稼ぎ続けてくれる」という点だ。流動性とリターンと管理のしやすさを考えると資産運用は株を中心にすべきだ。
ポートフォリオの基本は分散投資だ。それはどういった資産に投資するかという場合でもどの株式に投資するかという場合でも変わらない。特徴の違う資産に分散して投資というのが資産運用のカギなのだ。資産構成割合については個人の状況や好みによるが現金と株のみで構成する場合現金を5-50%、株を95-50%程度とすればよいだろう。一般に年齢が上がるほど現金を必要とする可能性が高まるのでそうした場合現金保有を増やすことで対処する。タイミングについては計るのが非常に難しいので株価指数であればドルコスト平均法、個別株であれば気が向いたときに買うのがよいだろう。手間をかけたくない人はETFで株価指数を定期的に買うのが一番だが多少勉強する気があるのなら日本では小型中型株は無視されがちで株主優待を導入している企業も多いので個別株も面白い。
株式投資のスタイルは企業価値に注目したバリュー投資と企業の成長性に注目したグロース投資が有名だが他にもモメンタムや企業規模や企業サイクルや安全性に注目した投資法などがある。リスク性向を見る指標としてはボラティリティやベータに自己資本比率や債務比率などが有用で企業の質を見る指標としては成長率や利益率や配当性向などがわかりやすいだろう。統計的にはPERやPBRが低く企業規模が小さくベータが低く継続的に利益を出し業績が安定して成長していてROEが高く配当性向が高く借金が少ない企業の株がいい株と言える。これらは指標として見ることができるのでスクリーニングにおいて有効だ。
定量化できないものでは価格決定力やビジネスモデル、長期展望や経営陣の質などが重要だ。どういった企業を選ぶかは個々人の未来予想によるところも大きいがここでも分散は意識しておきたい。食品とサービスと自動車関連と機械と金融と不動産といった具合に保有業種をばらけさせるべきだ。各業種、セクターから好きな銘柄を選んでいくという方法もよい。優待銘柄は下落しにくいので迷ったら優待のあるほうを選ぼう。
株式投資で避けて通れないのが株価サイクルだ。金融危機は必ずやってくる。サイクル初期で株の安い時にたくさん買っておく、場合によっては信用も使ってレバレッジをかけるなどして上昇に乗り高値圏では下落に備えて現金を多めに持っておいたり金融危機が起きて株価が下がった時に集中的に投資したりできれば理想的だ。正確なサイクルを予測するのは難しいが兆候を見て取ったり過去のデータと比べることはできるので0か1かではなく地合いが悪いので少しディフェンシブに、上昇が期待できるので少し強気に、といった具合にあまり気負わずにポートフォリオを調整していくとよい。
日本株だけでは心配なら外国株も入れておくといい。外国株も個別で買えるところはあるが海外指数を買うのが簡単だ。外国株を入れることで地理的にも政治的にも為替的にも分散ができる。日本は緩やかに衰退していても日本の会社は輸出をしたり海外でも稼いだりしているのでそれほど大きな変化はないかもしれないが外国株を買っておくことでリスクヘッジができる。海外指数も買いやすいのはやはりETFだ。ETFは運用会社によって連動元や手数料が違うのでよく見て必要なものを買おう。
ポートフォリオは一度に大量に入れ替えたりなど極端なことはせず少しずつ変えていくのが定石だ。初めは何度かに分けてポートフォリオを作りその後は再投資や引き出し時に調整したり定期的にパフォーマンスの悪い株を売り別のいい株に買い替えたりして好リターンを維持していく。資産運用はきちんと勉強さえすれば誰でもできることなので銀行に勧められるがままに投資信託を買って後悔するよりは自分で運用するべきだ。お金の勉強は一生もので学んだことは無駄にはならないので是非お勧めしたい。
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