2016年7月12日火曜日

衰退する日本経済には国土管理が必要

選挙ではいつも耳障りのいい言葉が並ぶ。「豊かな国」、「美しい国」、「雇用創出」、「力強い経済」、「安心できる老後」、などなど政治家はいいことしか言わない。だが現実は非常である。日本は衰退するのだ。あまり言う人はいないが将来確実に訪れる日本経済の当たり前だ。避けられない衰退のために、策を講じるべきだ。
まず日本の人口が減っていく以上衰退は必至である。一人当たりのGDPも劇的に上げることは不可能で、頼みは輸出と海外現地法人の利益だけ。移民を受け入れてもアメリカのように移民の国にでもならない限りはヨーロッパのように失敗するだけだ。OECDによると、ベースラインで2020年の日本の人口は12400万人でこれが2060年には8674万人程度になると予測されている。生産年齢人口はその半分ほどだ。日本は人口減少という数の問題だけでなく、人口ピラミッドの問題も抱えている。

人口が減ると消費が減る。人口が半分になったからといって1人1人が2倍食べるわけにはいかないだろう。税収も減る。社会保障費は増え続けているので、財政が持続不可能なことは明らかである。しかもこの人口予測は悲観的なものではない。どんなに頑張っても人口プロファイルにより生める子供の人数は決まっている。出産適齢期の女性の人数がわかっているので、予測もたやすい。合計特殊出生率は1.4前後で推移している。大きく上がる見込みもない。

人口が緩やかに減っていくだけならまだいいほうで、実際は世代間格差や上がり続ける各種税金によりますます少子化が進み、人口減少が加速する恐れさえある。これを完全に解決することは出来ないが、和らげることは出来る。減税と社会保障費の減額だ。それらに加え若年雇用の促進や労働関連の法律の厳守、生産性の向上などもあるがどれも即効性はない。
このように、日本の衰退は避けられない事態なのに大きな対策は練られていない。地方自治体の統廃合、過疎地域のインフラ縮小、東京一極集中の解消、高等教育の質の向上、社会秩序維持のための政策など、考えるべきことはたくさんある。一番いい緩衝案は、コミュニティの再構築だ。人口密度の下がる地域では、コミュニティを維持できない。自治体の財源や管理の問題、投資に対する効率などを考えると、国土を居住区と非居住区に分ける必要がある。エリア管理をすることによって、お金をかけるエリアを限定することができ、居住者の利便性も高まる。東京は大き過ぎるが、東京のような経済圏が地方にも必要だ。

居住区、産業区、自然区と3つに分類するのはどうか。全国的に空き家が増加しているが、これは使い道がないのに高額な不動産のせいだ。活発な売買が行われず、固定資産税も高い。そもそも、宅地の需要がない。そういうところは国が買い取って、非居住区にすればいい。自然が残っている環境なら、農業区や自然区。国有であれば、土地の区画管理や賃貸もしやすくなる。郊外にある大きな土地は、工業区。街部分を限定して集中してインフラ整備をして居住区とし、コンパクトシティを目指す。過疎地の強制的な引っ越しや土地の収用などは難しいだろうが、そういった政策がないと衰退に備えることは出来ない。

何もしないと、どうなるか。治安が悪化する。放置区域の増加で危険な場所が増え犯罪者の潜伏場所が増えスラムが増え老朽化したインフラで事故が増える。数が減るのだから選択と集中をして質を上げるしかないのだ。高度な知識、技能、スキルを使って外貨を稼ぎ、国内での需要の減少を補う。学校の数を減らし教育の質を上げる。少数精鋭でやっていく。だがこれらは全て絵に描いた餅で実際は変化を恐れて現状維持を目指し悪化していることにも気づかないだろう。それが「美しい国」日本の姿だ。

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