2016年9月14日水曜日

金利が急騰すると何が起きるのか

追記
この記事は為替レートの変動という観点が抜けているので、先に大幅な円安が起きた場合輸入が減り物がなくなるという可能性はむしろ高い。これについては忍び寄る円安の恐怖 金融政策の限界で書いている。

債務が無秩序に増え続け日本の財政破綻が危惧されているが金利が急騰することはあっても日本国債がデフォルト(債務不履行)に陥ることは意図的でなければ起きない。ハイパーインフレも可能性は低くむしろ一層の円高と強烈なデフレの可能性を考えなければならないだろう。

現在日本政府の借金は1000兆円を超えこれは対GDP比で200%以上だ。こんな状況でもアベノミクスで景気がいいと言い張っていたのに安倍政権は増税を延期し予算も大盤振る舞いだ。だが何らかのイベントでひとたび金利が上昇すれば新たに借金をすることは不可能となる。ここまでは容易に想像できるがではその後はどうなるのだろうか。まずは数字を整理しよう。

日本のマネーストックは1600兆円だ。マネーストックとは市場に流通しているお金とそれに近いものだ。日本人は株への投資はあまりしていないのでマネーストックは1400兆円と言われる個人の金融資産とだいたい一致する。上場株式の時価総額は500兆円だ。そして大和ハウスによると国民経済計算を元に計算すれば不動産の資産規模は土地が1200兆円で建物等が1300兆円だそうだ。これらを合算すると日本の資産は4600兆円となる。日本は毎年500兆円の利益を上げ4600兆円の資産を持つ会社であるとも言える。

ハイパーインフレが起きるには急に物がなくなったりお金の流通が大きく増えたりその両方が起きたりが必要だが実際にはどれも起きていない。日銀は大規模金融緩和を行っているが株と不動産で資産バブルこそ発生していてマネタリーベースは増え続けているが肝心のマネーストックはそれほど増えていない。この状況でハイパーインフレが起きるとは思えずたとえ日本が借金を全て踏み倒したとしても資産が4600兆円ある中で1000兆円を吸収して物価が2倍になるとは考えにくい。もし金利が高騰した場合国債の新規発行が不可能になるがそうなった場合金融方面と財政方面と2つの対策がある。

金融政策的なアプローチには3つある。徳政令、政府紙幣、金融緩和だ。徳政令とは債務を放棄し借金を帳消しにすることだ。インフレが制御できなくなった時にデノミが行われることがあるがそれも近いアイディアだ。国債を保有しているのは主に金融機関であるので単に債務免除だけをすれば銀行が潰れてしまう。そこで預金封鎖と合わせて行うのが効果的だ。いきなりで一度きりであれば取り付け騒ぎが起こる間もない。徳政令で債務が消えてなくなった場合バランスシートは縮小するのでその分デフレになる可能性がある。

政府紙幣とは政府が発行する紙幣のことでその気になればいくらでもお金を生み出せる打ち出の小槌である。ハイパーインフレが懸念されるのはこのケースだ。1000兆円の政府紙幣を発行すれば政府の信用という後ろ盾で現金が手に入る。それで国債と地方債を買いきってしまえばオペレーションは完了だ。徳政令では直接的には債権者のみが損をするのに対して政府紙幣では借金を国民全体になすりつけて薄めてしまうというのが違いだ。バランスシートは拡大するのでインフレが起きるだろう。

金融緩和は最終的にはインフレを起こして債務を軽くしようというのが狙いだが起きるのは資産バブルだけで実体経済には悪影響だ。財政ファイナンスやヘリコプターマネーまで行くと政府紙幣とあまり変わらない。マイルドなやり方なら日銀が購入した国債を満期まで保有するという手もあるが似たようなものだ。資産バブルを起こしても資産を売れば値は下がるのでインフレさせた分のマネーストックが増えるわけではなく損をするのは日銀だ。全ての株を現在値の2倍で買い取るなどと日銀が約束すればマネーストックは大幅に増えるだろうがそんなことは不可能だ。

何でもありとしてしまえば金融政策でインフレやデフレを好きに起こすことができるがそうなると政府の信用や二次的影響や経済へのダメージは計り知れない。日銀券が信用を失えば買い占めが起き物がなくなり物々交換の世界になってしまう。政策の結果何か予想外のことが起きるかもしれない。黒田日銀総裁は現実を認めたがらないが金融政策には明らかに限界がある。そこで王道の財政政策的なアプローチが必要となってくる。

財政政策で可能なのは増税と予算削減だ。借金を減らすには歳入>歳出とする必要があるので例えば所得税を5%上げ住民税を5%上げ健康保険税を5%上げ介護保険税を5%上げ年金税を5%上げ消費税を5%上げて歳入を増やすと同時に年金を20%減額し医療費自己負担を5割にし公務員給与を10%減らし議員給与を50%減らし公的サービスと補助金を減らして行政費を20%減らし歳出を減らすような政策が強いられることになる。

金融政策では大きく分けると借金を踏み倒すか刷りまくって薄めるという2つのアプローチがあるがどちらも副作用が大きくそれだけでは財政問題は解決できない。そこで財政政策を併用することとなるが国債新規発行が不可能となると予算は大幅減でインフラ維持すらままならない。金利暴騰で実体経済にも国民心理にもダメージがあり不景気どころではなくGDPも2桁の大幅減少をしてもおかしくない。国債発行凍結と借金の返済でやり直すことは出来るが生産性の低い世界一の高齢社会で復興という言葉を使うのはもはや笑い話だ。お年寄りを切り捨て若者に投資してソフト・ランディングするしか道は残されていない。日本に本当に必要なのは復興ではなく終末ケアなのだ。

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