2016年9月25日日曜日

競歩は走っている

競歩選手は走っている。歩いてはいない。断言できる。競歩という競技は走っていても歩いているように見えればいいのだ。

競歩には2つの大きなルールがある。ロス・オブ・コンタクトとベントニーだ。ロス・オブ・コンタクトとは両足が地面を離れてはいけないというルールで、ベントニーとは膝が曲がってはいけないというルールだ。地面を蹴って浮いたり前傾姿勢になったりすることが「走っている」と見なされるわけだ。だがこれらのルールはどちらも厳密には守られていない。競歩選手の両足が完全に地面から離れて浮いている写真はいくらでも出てくるし膝が曲がっている写真だって探すのに困らない。

これらは絶対的なルールではなく努力義務なのだ。なるべく両足が地面を離れないようにしましょう。なるべく膝が曲がらないようにしましょう。そもそもジャッジするのが人間の目視で写真判定などはない。あまりにも両足が地面から離れてしまってはダメ、あまりにも膝が曲がり過ぎてはダメ、という曖昧な規則なのだ。

頑なに「歩いています」と言い張る選手は嘘を言っていることになるし損をしている。「人間の目から見て歩いているように見えればいいんですよ」と正直に言うか、もっと開き直って「膝を曲げずに走っている」と言えば誤解はなくなる。あれは歩いているのではなく「競歩走り」というフォームで走っているのだ。そこは絶対に譲れない。

あのヘンテコなフォームで何十kmも走り続けるのがいかに辛く苦しいのか、歩いているように見せるためにどんな苦労をしているか、そういうことを訴えていくほうが「歩いています」と主張するよりよっぽど建設的だろう。

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