2016年9月10日土曜日

配偶者控除の廃止はただの増税 本当に必要な税制改革

税制調査会で配偶者控除の見直しと夫婦控除の導入が検討されているが結果はただの増税となるだろう。低所得者層やワーキングプアの支援と公平な税制のためには別の改革が必要だ。

パートタイム労働者には二つの壁がある。一つ目は基礎控除38万円+給与所得控除65万円でそれ以上は所得税がかかり配偶者控除が減額される103万円の壁で二つ目は健康保険の加入義務が生まれる130万円の壁だ。配偶者控除の見直しはこの103万の壁への対策だと思われるが政府は実質増税を想定しているだろう。さらにこの壁がなくなったとしても130万の壁があり今度は健康保険加入義務というやっかいなものが生まれるのでどちらにせよ長時間労働のパートタイマーは時間調整を強いられる。

日本の大きな問題点は所得の再配分で格差を拡大させるという悪魔的なシステムだ。高所得者には節税や投資といったオプションが与えられ健康保険は介護保険料を入れてもなんと最大でも80万円程度だ。金持ちほど優遇され健康保険の負担は相対的に軽くなる。まずは応能負担の観点から健康保険料の上限の撤廃が望ましい。社会保険料収入を増やすにはもう一つ応益負担で医療費の自己負担率を上げることもできる。若年者が三割負担で医療費の高さから受診を控える中で所得こそ少ないが金融資産の大部分を独占するお年寄りが一割負担とはおかしな話で公平性を欠く。

そして最も求められるのは配偶者控除の見直しなど小手先の改悪ではなく基礎控除の増額だ。あの自己責任で自由の国アメリカですら65万円弱と日本の1.7倍の基礎控除がある。基礎控除は最低限の生活費を考慮して算出されるべきで38万円ではとても生活できない。アメリカは自己責任と言っても日本より弱者に優しいのだ。低所得者から税金をむしり取ることは生活費を奪うことに直結し死活問題となる。思い切って基礎控除を120万円にすれば低収入でもかなり生きやすくなり同時に103万の壁も自動的になくなる。

基礎控除の増額とセットで必要になるのが所得税率の見直しと給与所得控除の撤廃だ。基礎控除を上げれば最低限の生活費には税金がかからなくなるのだからどうしても必要なら所得税率を全体的に上げることができる。より問題になっているのは給与所得控除だ。給与所得控除はサラリーマンを不当に優遇し起業やイノベーションを妨げている。自営業だからといって何でも経費に出来るなどということはなくきちんと税務署に調査されている。サラリーマンは最大で給与の4割もの金額を何の経費にしているのか?高所得のサラリーマンですら1割強の控除がある。年収2000万だと年間245万円の経費がかかるのか?こんなものが必要だとはとても思えない。フリーランスは打ち合わせや下準備などかかる経費はサラリーマンとは比べ物にならないが特別な控除はない。優秀であればあるほどフリーランサーよりもサラリーマンのほうが得になるのだ。サラリーマンを手厚く保護し個人事業主を冷遇する仕組みはなくしたほうがいい。

もう一つ変更すべきは金融所得の税率だ。古くはマル優から今はNISAまで日本は使いにくく期間限定のエセ投資支援が大好きだ。貯蓄から投資へなどと戯言を言ってみたり金融立国に憧れたりするが必要なことはしない。規制緩和は一向に進まずアジアの金融ハブはシンガポールになった。教育や啓蒙もろくにせず株屋や保険屋(と不動産屋)は怪しい職業扱いだ。2013年までは10%だった上場株式の譲渡所得と配当所得は今や2倍の20%だ。世界のスタンダードを目指すなら15%が妥当だろう。総合課税だったFXやCFDはやっと申告分離課税になったが株と金融派生商品の損益通算は未だに出来ない。

日本は小さなことにこだわり大局を見ない。大きなことからやっていったほうが効率はいいが効率という言葉も嫌いだ。そして変化を恐れ現状維持を望む。国民がそれを求めているのなら仕方がないがそうでないならもっと声を上げ行動を起こすべきだろう。

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