2016年8月18日木曜日

市場を歪める日銀政策

GPIFが存在感をなくした株式市場では日銀が主役となった。国債市場に続き株式市場にまで手を伸ばした日銀。それはオプション市場にも波及している。

金融緩和の一環として国債や債券ETFの買い入れは他国も行っているが実は株式ETFを買っているのは日本だけである。あの中国ですらそんなことはしていない。しかも既に複数の大企業で筆頭株主になっているにも関わらずETF買い入れ額を3.3兆から6兆円へと増額したのだ。さらに日銀は企業支援と称して別枠でもETF買い入れを行い、REITのETFまでをも買いこんでいる。もちろん従来通り国債の買い入れも行っている。こちらは国債新規発行額の3割ほどだ。これで市場が歪まないはずがない。

切り崩されるGPIF。しばらくは円高先行か?で指摘した通りGPIFは円高により海外資産が目減りし国内資産の買い余力はなくなってしまった。GPIFというクジラは溺れてしまったのだ。そこで日銀は為替操作という大きな資金と他国の了解が必要なオペレーションを諦めて株価吊り上げでGPIFなき株式市場に介入し始めた。円高は進んでいるがファンダメンタルズ的には90円程度までなら妥当なのでアメリカが介入を許すはずもない。円安誘導ができなくなり株の買い支えにシフトしたのは日銀の悪あがきだ。

下がるはずの株価が下がらない。つまり株価は動かない。国による固定相場だ。オプション市場はそれを反映して低IVで閑散とし干からびてしまった。ただこれはファンダメンタルズとはかい離した偽りの平穏で何かきっかけがあればすぐに急落するだろう。今オプションを売るのは危険だ。中央銀行が株価を買い支える世界で唯一の国、日本。実験結果を世界に披露するのはいつか?また、どのような結果になっているのか非常に興味深い。

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