2018年12月27日木曜日

パーティーは始まったばかり?2019年も相場の急変に注意

今年は株価がアベノミクス以降初の前年比マイナスで終わりそうだが来年も厳しい相場が続きそうだ。今回は米金利絡みの2つの指標と日経平均の株価サイクルに着目して今後を考えてみたい。

私は基本的に悲観論者であるが四六時中株は下落すると言っているわけではなくまた根拠もなくそう言うこともない。去年の12月に書いた2018年は株価の調整に備えるべきかもしれないでは信用取引の統計を基に相場を考察したがこのように私はデータからはこう読み取れるという部分を大事にしていて相場を予想しているつもりはない。下落の種を探すのが好きではあるがそれは心配性だからでいつでも「株価は暴落する」と言っている人たちとは別であることを強調しておきたい。

今注目しているのは米国債のスプレッドが拡大を続けていることだ。これは今年10月頃から始まっているので12月の大幅下落にも意外感はそれほどない。それよりもこの上昇がトレンドになっているかもしれないというところが気になっている。このスピードは2015年の人民元切り下げによるチャイナショックの前と同じようなものだ。この時の時間軸を当てはめれば2015年8月の次は2016年1月に下落しているので今回は2019年5月頃までに第二波が来るということになる。これが来年が心配な根拠となっている。

スプレッドがこのまま上昇を続けさらに逆イールドは発生するか 長短スプレッドに注目に書いたように逆イールドが発生したらより危険なシグナルとなるだろう。米国の自動車売り上げは2017年に頭打ちとなっており製造業を中心に景気に陰りが見え始めている。この景気後退懸念に加えて米中摩擦、米国金利動向、欧米の金融政策正常化、わが国の国債とETFの買い入れ継続による流動性の枯渇など小さな不安は積みあがっている。今回の調整を予行演習ととらえてより大きな変動に備えたほうがよいかもしれない。

最後に日経平均の株価サイクルも見ておこう。青線が2003年4月28日からの日経平均、赤線が2012年10月12日からの日経平均、緑線が青線を上に6008.64円平行移動させた上でアベノミクスピーク(2018年10月2日)といざなみ景気ピーク(2007年7月9日)を合わせたものだ。つまり緑線は「もしこれから株価が前回の金融危機と同じように推移したら}というシミュレーションだ。

今回のサイクルは前回より長いが大きく3回の上昇トレンドがあったことは共通だ。このグラフでより参考になるのは時期よりも水準だろう。日本はゼロインフレ(デフレという嘘 ゼロインフレという真実を参照)なので全体の株価水準が上がっているのは企業収益の増加によるものと見てよいだろう。平行移動させた前回株価サイクル推移によれば今後は20000円割れした後18000-20000円で揉みあい次のショックで14000-15000円程度を底に下落ということになるだろう。つまり数年のうちにさらなる下落を見込むのであれば15000円割れを買い場とすべきということだ。

このブログ開始以来相場の考察は何度かやっているがその度に使う指標がマクロからミクロへシフトしていることは面白い。為替と株式市場時価総額から信用取引残高と空売り集計、そして今回の米国債券金利差とより細かく市場と密接な指標へと目を移していっている。これがサイクル終焉の兆候がより顕著に表れてきている証なのかはわからないがサブプライムローンが前回金融危機の引き金となったように今回も世界各国による長年の金融緩和で膨らんだ多額の国の借金や民間債務があり不透明感も強まってきているので現金を多めに保有して資産保全に努めたい。

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