2016年12月15日木曜日

利権まみれの電子マネー また外資に敗れるのか

日本には新技術やアイディアで先行するものの規制や利権で潰し合いガラパゴス化しおいしいところを全部外資に持っていかれるという事例が後を絶たない。電子マネーでもまたそれを繰り返そうとしているように見える。

また日本の市場が牛耳られようとしている。Apple Payに続きAndroid Payと外資系2社が相次いで電子マネー市場に参入してきたのだ。日本の電子マネー市場は古く10年以上の歴史がある。だが市場では一向に淘汰が進まず使える場所もまちまちで利便性が低い。消費者を無視してパイを大きくすることをせずパイの奪い合いばかりしている。歴史も技術もあったのに遥かに遅れて来た外資系に市場を乗っ取られそうになっている。

特に酷いのは半官半民のJR系鉄道が自社系の電子マネーでしか決済させないところだ。しかも系列ごとに変な名前を付けて微妙に違うものを発行している。ただでさえJRはクレジットカード決済がしづらく切符購入が現金のみとなりがちで使い勝手が悪いのに電子マネーすら制限している。半官のインフラ企業が自社の電子マネーのみ受け付けるというのは独占禁止法違反ではないのか?全部とは言わないが例えばWAONやnanacoや楽天Edy(プリペイド式)、iDやQUICPayやVisa payWave(ポストペイ式)などの電子マネーが鉄道で使えたらどれほど便利だろうか?もっと言えばIC付きクレカやデビットカードで直接電車に乗れればどれだけ楽か。

逆にお上の看板やインフラといった後ろ盾がない競争をしている企業は必死だ。コンビニは現金や上記のほとんどの電子マネーに加えもちろんクレジットカード決済にも対応している。おそらくその内にApple PayとAndroid Payにも対応するだろう。コンビニ各社は支払いという消費者の利便性に直結する必須の機能ではなくポイントカードという付加価値の部分で勝負している。ポイントカードは使う場所を選びたくさんあればかさばるが企業努力なのでそれを無視して「全てのお店で同じポイントカードを使わせろ」というような人は流石にいないだろう。

Sonyはこの手の失敗に事欠かない。一番の失敗はiPodに敗れたウォークマンだろうがベータマックスやメモリースティックに存在感の薄いFeliCaなどアイディアは良かったのに使い辛くコスパも悪く囲い込みやマーケティングで失敗して後から来たのに追い越されるということを繰り返している。まずい立ち回りのお手本のような存在だ。いい素材はあったのにそれを活かせない。船頭多くして船山に登るのか長いものに巻かれてしまうのかはわからないがとにかくデザインしてまとめて売り込むのが下手なのだ。

最近定着してきたエナジードリンクも残念だ。こちらも長い歴史があったのに外資系に主役を奪われてしまった。オロナミンCやリポビタンDなどはずっと売り続けてきたのに、少なくとも世界ではパクリで後発のレッドブルに負けてしまった。世界の市場に気付かずに国内でノロノロしているうちにCoca-Colaが作ったぽっと出のエナジードリンクにも負けてしまうのだ。意思決定や経営のスピードが足りないのか売り方が悪いのか。とにかくそういうものは見ていて悲しい。

過剰品質という問題もある。日本では80点以上を取れと言われても100点を目指すことが多い印象がある。対人関係やサービス業といったものならポジティブサプライズでいいかもしれないがそれがものづくりでさらに時間や採算を度外視しだすとそれは弱点にもなり得る。完璧を目指すのは効率が悪いのだ。日本は品質が高ければ高い程いいと勘違いしていてコスパの感覚が鈍いのだ。それは法律の知識がいるとなった時に必要な分野のみ調べるのでなく六法全書を全部読むようなものだ。100年持つ100万円のペンと1年しか持たない1000円のペンどちらがいいのか?この判断ができないと競争には勝てない。

日本はこれからも既得権益の保護や事なかれ主義で新しいものを潰していくだろう。何せ未だにFAXが使われている国だ。多少保護主義が強まったところで自由貿易はなくならず誰かが新しいものを見つければそれは瞬く間に世界に広がる。競争はなくならず適応できない企業は淘汰される。生き残れなければ飲み込まれる。30年後に日本という国は存在しているのだろうか?

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