2017年10月19日木曜日

健康に価値を持たせるべき 今すぐにできるベーシックインカム

多額の税金が使われていながらあまり話題にならない社会保障費。実はその使い道を変えるだけで国民に健康を意識させ小規模で実験的なベーシックインカム政策を行うことができる。さらには病気でないのに病院に通ったり病院を寄り合い所のように使うことに対する抑止力にもなる。

厚生労働省発表による平成27年度の国民医療費:結果の概要によると国民医療費の総額は42.4兆円で財源別にみると公費は16.5兆円(38.9%)で保険料は20.7兆円(48.8%)で患者負担は4.9兆円(11.6%)となっている。9割近くが税金で賄われているのだ。年齢階級別では0~14歳が2.5兆円(6.0%)で15~44歳は5.3兆円(12.6%)で45~64歳は9.4兆円(22.1%)で65歳以上は25.1兆円(59.3%)となっている。日本はまさに老人天国でこの国の医療費の6割近くは老人が使っているにもかかわらず彼らは現役世代よりも低い負担率で医療を受けることができる。日本最大の搾取の構図だ。

国民皆保険は破綻した制度で実態は高齢者が現役世代から一方的に搾取するものとなっている。これをどうにかしなければ現役世代が子育て世代となり人口を維持できる見込みはないがそれを議論している政治家はほとんどいない。それは数の多い高齢者にそっぽを向かれれば恐らく選挙で勝てなくなるという理由だろうがそこにメスを入れなければ日本という国家はなくなってしまうだろう。

実に単純明快だが誰も実行できない解決策は自己負担割合を上げることだ。試算してみよう。もし自己負担を一律5割にして応益負担を強めれば患者負担は42.4兆*50%=21.2兆円となる。現在の患者負担合計との差は16.3兆円でこれだけの税金が浮くことになるのだ。この16.3兆円を払うのは主に高齢者である。高額療養費制度をそのまま残しておけば医療費負担で困るということもないだろう。利益を受けるものが支払うという本来当たり前の応益負担の原則を守ってこなかったからこんなことになってしまっているのだ。

応益負担で浮かせた税金16.3兆円を配ったらどうなるか。日本の人口を1.27億人とすると16.3兆/1.27億/12=10696円で全国民に毎月1万円を払える財源となる。それをするには医療費を5割負担にするという最小限の変更だけでいいのだ。病院に行かない健康な人は毎月1万円所得が増え定期的に病院に行く人でも現在3割負担なら平均医療費が月6千円未満であれば黒字になる。負担が増えるのは多額の医療費がかかる人たちだが自分の治療費を自分で払うという今までしてこなかった当然の行為をするようになるだけで高額療養費制度もあるので自己責任の範囲と言っていいだろう。

健康の価値が上がり健康体の人たちは得をする。貧しくて病院に行くのを我慢していたような人たちはもらったお金で病院に行くようになるかもしれない。健康な人におぶさりもたれかかっていた病気の人たちには多少の自立を促せる。制度変更によって患者の行動が変わり無駄な病院通いが減れば無秩序な医療費増加も抑制できる。生活習慣病になるのは自己責任だがそれならばそれを治療するのも自己責任であるべきだろう。月1万円を多いと思うなら月5千円で様子を見てもいい。もちろん健康保険料には変動があるので完全な安定財源とするのは難しいが健康な人にはご褒美を、不健康な人には応益負担をという当たり前をするだけで健康的な習慣を奨励することができる。

もし医療費の自己負担分を上げるならば一大改革となるが健康増進や世代間格差の解消が期待できるのでやってみる価値は大いにあるだろう。ベーシックインカムは付随的な実験にもなり手応えがあれば年金と一元化することも考えられる。ベーシックインカムは財源がないというのは嘘で役人に言われるまま際限なくお金を使っていては足りないというだけだ。日本の一番の問題である年金と健康保険という社会保障費を抑制しない限りこの国は衰退する一方だろう。

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