2021年9月1日水曜日

コロナ後1年のオプションの平均リターン

 オプションの平均リターンの記事は過去2回書いているが自分で参考になる部分もありコロナによる暴落というブラックスワンのデータも手に入ったのでコロナ禍1年でのオプションの平均リターンについてまとめてみたい。

これはSQ算出日の終値で期近のオプションを売り持ちして次のSQ算出日で清算されるまで持っておくとどうなるかという統計だ。ATMの判定は同一行使価格でコール側はP>Cとなる最小値、プット側はC>Pとなる最大値としている。トレードを定量化することで比較や再現が可能となっているのが特長だ。行使価格の有無でサンプル数に違いがあるためギザギザの部分があるがもし理論価格を当てはめればなめらかなグラフになるはずだ。

まずはコロナ暴落を含む2020年3月から2021年3月までの13か月の期間で見てみる。ディープインとファーアウトのノイズを無視すれば大暴落を含んでいてもコールは右上がり、プットは右下がりのグラフになっていることがわかる。過去のグラフと比べても大きく違うのはY軸の高さぐらいで形に大差はない。3回目ともなるとこのような傾向が鮮明となってくる。

ある程度の期間以上で算出すると、きれいな形とはなっていなくともオプションの平均リターンはコールはブルスプレッド、プットはベアスプレッドのような形になっている。上の例で言えばコールはITM500円からリターンが上がりだしてOTM2500円で頭打ちとなっている。プットはITM1500円からリターンが下がりだしてOTM1500円で底打ちしている。コロナ暴落を含んでも13か月間でプットOTM250円まではプラスというのは特筆に値する。ATMプット売りは強いのだ。コール側はあまり影響を受けておらずOTM2000以上を売り続けていれば微益といったところか。

次はコロナ暴落を除いた2020年4月から2021年3月までの12か月を見てみる。暴落がなければこのようなリターンになるという見本のようなグラフだ。コールはITMでー1000円弱からOTMで数十円程度のプラスに右肩上がりだ。プットはITMの1000円程度からOTMの100円弱まで全行使価格でプラスになっている。暴落があればグラフは下にシフトはするがおおまかな形は変わらないであろうこともわかる。

これまでの結果を基にすると、オプションストラテジーをおおまかに3つ考えることができる。それぞれをATM付近でプット売りコール買いをする合成先物、ファーアウトの売りをする保険屋、買い専門で大当たりを待つ宝くじと名付けよう。サンプルがなかったので正確な数字は出せないがそれぞれのトレードでどのような結果になるのか軽く計算してみる。税金の関係で1月から12月という区切りにするのが妥当であろう。どの戦略も毎年確定申告が必要なので万人向けではない。

合成先物戦略は証拠金が多く必要で年単位で負けることもあるがプレミアムをしっかり得られる戦略で、レバレッジを1にすれば現物と変わらないリスクになる。上図はトレード資金を1000万に固定した場合の過去4年の合成先物リターンだ。コールとプットでATM判定が違うので両方出してみたがあまり差はない。数字は12か月毎月SQの終値で合成先物を1枚建てた場合の年間利益、リターンはそれをトレード資金の1000万で割ったものだ。日経平均を3万円とするとレバレッジは3倍なのでハイリスクハイリターンな投資と言えるだろう。2020年3月の暴落では約6000円、オプションは千倍なので600万円の損失が出ることになるが一時的に補填して根気強く同じトレードを続けられていれば年間でプラスに持っていくことができたことになる。2000万円用意すればリターンは半分になるがそれでも13.5、ー4.24、21,19.4%とそれなりになる。難点はやはり資金量か。合成先物を作ってミニ先物を売ってレバレッジを下げる方法もあるがそれでも最低500万程度は欲しい。

保険屋戦略はリターンを計算することが難しい。負けるのはごくたまにだが負けると損が大きくなりがちな典型的なコツコツドカンで、リターンをよくするにはいかにドカンとさせずに損切りできるかということにかかっているからだ。損切りできないと一発退場もあるので相場を監視して必要ならためらわずに切れる人しかやるべきではない。保険屋とはいうが保険会社の商売よりはるかに割が悪い危ない橋だ。暴落は上手く損切りできる前提で、トレード資金を1000万として毎月4ー5円のコールとプットを10枚ずつ売って年間1000円とれれば10%のリターンとなる。この戦略は枚数を変えれば100万円程度でも実行可能であるが、暴落に対応できなければ借金をする可能性まである、一見安定して見えるが暴落に巻き込まれればリターンは大幅に低下する玄人向けの戦略だ。

宝くじ戦略は毎月決まった金額か決まった枚数のファーアウトプットを買い続ける損失限定のトレードだ。こちらはリターンの計算が最も難しい。買い続けないと当たらないがずっと買っていると損失が膨らむ。暴落後はしばらく買わない、大きく上がった翌月は買わないなどルールを作ることはできるがそれで買い損ねるかもしれない。そして実際にプットが盛った時に売り返済すべきか、するならいつするかといった問題もある。上手く当てられれば数十万が数千万になることもあるがそうめったにあるものではないしとるのも難しい。毎月1万円分買って年に一度12万円当たれば0%のリターン。大暴落までそれを続けられて大当たりで100万が出たとするなら、暴落が10年目として10年平均で10%程度となる。資金こそ少額で始められるが損失を出し続けたり売りのタイミングがあったりと投機的要素も多い。

コロナ暴落のデータも得た上で戦略を考えてみたがコロナ前と大きくは変わらなかった。日経オプション市場はコールがブルスプレッド、プットがベアスプレッドのようなリターングラフで形はあまり変わらずに相場変動によってグラフが上下する。今回の分析で一定の結論は得られたが今後も8年、10年とデータがたまったらどうなっているかまた見てみたい。


過去の記事

過去4年のオプションの平均リターン

過去2年のオプションの平均リターン

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