2019年9月29日日曜日

アメリカで中国株上場廃止検討の衝撃 ソフトバンクは要監視

トランプ政権が米国基準に合致した財務情報開示がない場合米国市場における中国株の上場を廃止するかもしれないというニュースが出てきた。米中摩擦や景気後退の影も見え神経質な市場にとっては気になるニュースだ。日本市場にももちろん影響はあるだろうが、ここは直近のWeWork上場延期のニュースと合わせてソフトバンクグループにスポットライトを当ててみたい。

米国での中国株上場廃止は実現すれば市場の混乱は免れないだろうが、まだ検討の段階でありトランプ流圧力で実施するつもりはないということもあり得るので何とも言えない。短期的なニュースで終わる可能性もあるが金融市場の雲行きが怪しくなってきているのでこれをきっかけに大きな動きが起きても不思議ではない。ただそれには社債の債務不履行や企業の破綻などの象徴的な出来事が必要となるが、債務が多額で投資業で儲けているソフトバンクはもしかしたら何かが起きるかもしれない企業なので知っておいたほうがいいだろう。

3年前にソフトバンクの信用リスクは無視できないで間違いが重なればとんでもないことが起こるかもしれない例としてソフトバンクグループ(SBG)を取り上げたが、その後孫正義氏率いるSBGはビジョンファンドなるものを立ち上げて完全に投資会社となった。2019年3月決算では利益の半分以上が実現されていない株式の含み益という状態だ。過大な債務は相変わらず、政情不安があるサウジアラビアから投資を募り、中国への投資も多く、安定した収益が見込める携帯電話事業を分割して持ち分を減らすなど、博打とも思えるような大胆な攻めの経営をしている。

そんな中でWeWork(ウィーワーク)のIPO延期やアメリカ市場での中国株上場廃止検討とSBGにとってはマイナスとなるニュースが続けば、未上場株の評価額の妥当性やビジョンファンドの先行きに不安を持つ投資家が出てきてもおかしくない。まず米国から中国株が追い出されるとSBGが保有しているアリババの評価や売却が難しくなる。アリババは孫氏が早くから投資して大成功を収めた企業だが、出口がなくなってしまえば全てが難しくなる。保有株式の担保価値が下がれば新たな担保差し入れや債務の返済を迫られる可能性がある。ソフトバンクに融資しているメガバンクが損を出すようなことがあれば心配は広がる。

ビジョンファンドで不安なのが、多くがユニコーン企業であることだ。ユニコーンとは既にある程度大きい未上場のベンチャー企業のことだが、こういった企業ばかりに投資するのはリスクが大きい。アリババの時はもっと初期でエンジェル投資家に近いようなものだったのでリターンは大きかったが、既に評価されている企業がそこから爆発的に成長して巨大化する可能性は低く、そうなったとしても投資額に見合うリターンになるかはまた別だ。

2019年5月にビジョンファンドが保有するウーバーがニューヨーク証券取引所に上場したが、株価は低迷していて率直に言って投資は失敗したと言っていいだろう。過大に評価されたユニコーンに投資が殺到すれば悲劇的な結果が待っている。それが赤字で利益を出せていない企業であればなおさらだ。ウーバーの失敗に続きWeWorkまでもがIPO延期となって風向きも変わってきたようだ。WeWorkは直前にCEO辞任騒動もあり今後も不透明だ。赤字のユニコーンを見る目は厳しくなっていくだろう。

これはユニコーンを多く保有するビジョンファンドにとっては向かい風となる。WeWorkはSBG投資時より価値が三分の一、最悪のケースでは十分の一になっているとも言われるが、そういった厳しい評価が他の保有企業にも向けられるかもしれない。未上場であれば評価の方法はいくらかあるのである程度恣意的に評価額を決めることができる。上場してしまうと評価が確定するという面もあるのでSBGは助かった部分もあるかもしれない。投資で利益の過半を稼いでいるソフトバンクが保有未公開株をどう評価するか注目だ。

今回より大きな問題となり得るのが、信用を毀損してしまうことだ。孫氏の神通力が失われ投資家が去っていくというシナリオだ。減損しなければ決算は取り繕えるだろうが、してもしなくても現在のポートフォリオはより厳しく見られるだろう。大口であるサウジアラビアがどんな行動に出るかもわからない。一旦信用に傷がつけば、多額の債務を抱え投資業で手元に現金が少ないSBGの信用リスクは増してくる。まだオオカミ少年レベルではあるが、ソフトバンク・ショックがないとは言い切れなくなってきている。

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