2018年6月11日月曜日

宅配便の時間指定はサービスなのか

宅配便は依頼人と受取人が違うので受取人が都合をつけるには依頼人経由で宅配会社に頼むということになっているが預かった荷物を届けるのが宅配業者の業務と考えれば時間指定はサービスとは言えないのではないか。宅配の時間指定はサービスではなく本来お願いすべきはむしろ業者側なのではないか。

宅配便は日時指定がなければ業者の都合で届く。それは業者の都合なので受取人には関係がない。居留守はあまりいいことではないが共働きで留守番中の子供なら防犯上やむを得ないこともあるだろう。一人暮らしなら家にいても入浴中で出られないこともあるだろう。もちろん外出中の場合もあり様々な理由でほとんどの人が再配達を依頼したことがあるだろう。再配達が発生するのは業者の都合を優先するからなのだ。

宅配業界には詳しくないので法律なのか社内ルールなのかはわからないが宅配には対面でサインや印鑑を求められることがほとんどで本人限定郵便など郵便物でも対面受け取りが必要な場合もある。宅配ボックスや宅配ロッカーがあっても使われなかったり冷蔵冷凍など置いて行きづらい荷物もある。だが配達員が自分に都合いい時間に荷物を届け対面受け取りを要求するなら再配達はなくならないだろう。受取人には受取人の都合があり配達員に配慮する義務はないからだ。

もちろん宅配の多くは通販で依頼人の依頼人は受取人であることが多いが受取人は宅配業者の直接の顧客ではない。極端な例だが受取人がほぼ荷物を受け取らず荷物を届けられなければ宅配業者は仕事にならないだろう。宅配の仕事が受取人に荷物を届けることであるならばこれは職務放棄だ。不在や居留守であえて受け取り拒否をするような人は少ないだろうが結果的に荷物を届けられないなら契約は不履行で依頼人は支払いを渋るだろう。それが続けば頼まれなくなる。荷物を届けられないことが死活問題で荷物を届けることを仕事としているのは宅配会社なのだ。

そうであれば受取人が荷物を受け取るために受取人の都合で日にちや時間を指定することは果たして宅配業者のオプションやサービスなのであろうかという疑問が湧く。届けられずに困るのは業者ではないのか。何故受取人の都合を聞くことがサービスなのか。荷物を確実に届けるために受取人の都合を聞くことはむしろ業者側の利益ではないのか。日時の指定をお願いしたいのは荷物を受け取ってもらいたい業者ではないのか。受取人には荷物を受け取るために都合をつける義務はない。そう考えると日時指定はサービスではないだろう。

宅配業者側からすればお届け時間の指定で手間が増えるのだから対価を求めたくなるのはわかるが依頼人の希望は荷物を届けてもらうことであっていつ届けるかはあくまでも業者の都合だ。さらにいつ受け取るかは受取人の都合なので業務を遂行したければ受取人の都合を聞いたほうが効率はいい。再配達を繰り返し荷物を受け取ってもらえないコストよりも受取人の都合を聞いて一度で確実に届けるコストのほうが高いというなら仕方がないかもしれないがそうでなければ時間指定を有料とするのは道理が通らないだろう。

再配達を減らし物流の負担を軽くするには不在配達をよしとするか受取人の都合を聞くかという2つの方法がある。対面受け取りは本当に必要なのか?不在でも配達して破損や盗難は保険で対応したほうが安いのではないか?実現性を無視すれば荷物は不在でも届ける、冷蔵冷凍や高額品や大型のものは時間指定を承るというのが最も効率がよさそうだがそれをできなくする障壁があるのだろう。法人なら営業時間の受け取りは業務だが個人にそのような責務はない。個人を相手に宅配ボックスを使わず業者の好きな時間に荷物を届けるのであれば再配達が増えるのは当然である。

配達員は仕事で荷物を届けることを請け負っている。一方受取人は個人なら受け取ることは仕事ではなく宅配業者の都合を押し付けられる理由も受け取りの義務もない。物流の増加に伴い再配達の多さが問題となっているが対処すべきは仕事を請け負っている宅配業者であって受け取る個人ではない。宅配の時間指定は業者の仕事をしやすくするためのものであって受取人への配慮ではない。再配達を減らしたければ宅配業者が対策を打ち出すべきだろう。

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