トランプ政権誕生以降の日本株は順調に見えるが実態は数字上ほどよくないかもしれない。それを指摘しているロイターのコラムを紹介したい。焦点:日本株は割安か、真の水準は「1万7500円」の見方も
PERから見れば日本株は割安だという声を聞くことが多くなったがそれはまやかしかもしれない。日経平均株価と日経平均1株利益(EPS)では算出方法が違うからだ。日経平均は株式分割や併合をみなし額面で考慮し銘柄入れ替えを除数で調整した変形単純平均である一方、日本経済新聞社発表の日経平均EPSは225社の時価総額合計を225社の利益合計で割った加重平均だ。日経平均がどのようなものか同様の算出方法で計算した架空の指数を見てみよう。
構成比率を見れば一目瞭然だがこの指数は値がさ株の影響を大きく受ける。A社の株価が2倍になっても指数は220だがE社の株価が2倍なら指数は280になる。日経平均で額面が大きく構成比率の高いファーストリテイリング(ユニクロ)、ソフトバンク、ファナックが重要視されるのはこれが理由だ。
A社が1対2の株式分割をした場合見なし額面が2倍になって指数は変わらない。既に構成銘柄となっている場合分割や併合はみなし額面を変えることによって指数への影響はないのだ。
銘柄の入れ替えがあると除数で調整するので指数への影響はないが構成比率が変わるのでその後の指数に対する個別銘柄の影響力が変わる。
一方日経EPSは単純平均でなく加重平均で計算されているので時価総額と企業利益を合計する必要がある。この指数の場合510万円を36万円で割ると加重平均EPSは14.17になり、指数200をそれで割るとPERは14.12になる。これだと時価総額と利益の絶対額の大きな企業がEPSとPERを左右することになる。
現在の算出方法だと日経平均は値がさ株の影響を受けやすく、日経平均EPSは時価総額の大きな企業の影響を受けやすいと言える。だが冒頭のロイターコラムでも指摘されている通り指数とEPSで算出方法が異なればそれらを合わせて使うことは不適切だ。今回用いた架空の指数で指数と同じ単純平均でEPSを求めると43を5で割ることになりEPSは8.6、PERは23.26になる。単純平均と加重平均ではかなり違った数値となるのだ。
きちんと単純平均で日経平均EPSを計算するには個別EPSをみなし額面で調整した上で合計しそれを除数で割る必要がある。それを行っていないEPSやPERを基にした指摘は話半分に聞いておいた方がいいだろう。
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