2022年4月28日木曜日

プロパガンダに注意 情報には主観がつきもの

 ロシアのウクライナへの攻撃が続いているが一体何が真実なのか庶民には知る術がない。ただ一つ言えるのは片側の情報だけを鵜呑みにするのは危険だということだ。ロシアの言うことは全部嘘で西側の言うことは全て事実ということもないだろう。特に感情に訴えようとする報道には気を付けたい。

ロシアがウクライナを攻撃しているのは間違いない。だがその目的を完全に計り知ることはできない。侵攻なのか戦争なのか、呼び方だけでも主観が入ってくる。ロシア側の言い分も知りたいところだがほとんど情報は入ってこない。手に入るのは西側のフィルターがかかった西側に都合のいい情報だけだ。不都合なことは報道しないというのは何も専制国家の専売特許ではない。両側の情報を比べてこそ真実は見えてくるが自由主義陣営もそれは許さないようだ。個人的にはロシアの信用度を10段階で3としたらウクライナは4,アメリカで6程度だと思うがロシア側のニュースはプロパガンダ、ウクライナのSNSは本当のものとされているのがどうも信じられない。

日本のメディアの報道はシンプルで、ロシア下げとウクライナ上げに徹している。女性と子どもの被害、病院や学校が攻撃された、記者が攻撃された、ウクライナは悲惨な状況、ロシア兵の士気は低い、ロシアは弱い、ウクライナはよくやっている。ロシアは悪者、戦争反対、ウクライナを助けようという感情的な報道しかない。ここに強烈な違和感がある。可哀そうと思わせようとするだけの報道はあまり意味がない。なぜこうなっているのか、ロシアの目的は何か、事態が悪化すればどうなるのか、そういった重要な論点が抜け落ちているからだ。

ロシアの言っていることは嘘が多いにしてもアメリカの言っていることが全て事実とは限らない。特に機密情報であれば簡単には手に入らないしアメリカの分析も推測でしかない。こういった場合は動かせない事実を基に考えていくべきではないか?ロシア産原油は世界の消費量の1割だそうだ。これは動かせない事実だろう。世界の輸出量は小麦の3割、トウモロコシの2割、ひまわり油の8割がロシアとウクライナ産だそうだ。肥料の原料ではロシアとベラルーシが主要輸出国となっている。ロシアの軍事力は正確にはわからないが小型核の分野では米国より多いようだ。

これらの事実のみで判断するなら、ロシアはエネルギーでも食糧でも困っていないということだ。水、食糧、エネルギー、軍事力と全てが揃っているから大国なのだ。中国は軍事力はともかく他の分野では不安がある。単独で生きていける、武力もある大国は世界に二つだ。大国は鎖国しても問題なくやっていける。だからアメリカとロシアは怖いのだ。ロシアとウクライナの争いも結局はアメリカとロシアの代理戦争でしかない。

経済制裁でロシアは破綻だ、ロシアはデフォルトして困るなどと言っている人がいるがそれは願望に過ぎない。ソ連は1991年に崩壊した。ロシアは1998年にデフォルトしている。大国はなくなっただろうか?現在脅威となっているのはどの国か?返り血を覚悟で経済制裁を強めるべきという論調もあるが実際は打たれている点滴を自ら外すようなもので効果は疑わしい。そもそも多くの国は中立で反ロシアではない。世界中がロシアを非難しているわけではないのだ。

ロシア人に真実を知ってほしいというのも傲慢だ。自分たちはロシア側メディアを封鎖しておいて西側ニュースやSNSは全て真実なので信じてほしい、皆さんはロシア政府に騙されているなどと言えば反発必至だろう。自国を否定されたあげく上から目線で啓蒙してくる、それはまるでカルト宗教の布教ではないか?欧米には欧米の考えがありロシアにはロシアの考えがある。お互いに情報統制をして対話の窓口を閉ざしていては疑心暗鬼を深めるだけだ。

ロシアは戦争で消耗しているだろうがそれは西側諸国にも言える。欧米は供与した軍事物資を失い避難民の受け入れで500万人以上の生活を保護している。人道支援とエネルギー高騰による疲弊は経済的負担で言えばロシアより大きいだろう。ロシア産のエネルギー禁輸をするにしても代替がない。その分節約してつつましく過ごすというならそれは国民の選択だが代替策のないまま政治主導でやめるというのは無責任だろう。当たり前だが食糧もエネルギーも有限でお金さえ出せば買えるというものではない。ないものは買えない。これを踏まえた上で何をできるのか考えていかなければならない。

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