2019年3月9日土曜日

ロイターのコラム アングル:バフェット氏の「教え」に変化、手紙で株価重視

アングル:バフェット氏の「教え」に変化、手紙で株価重視

当たり前のことかもしれないが企業価値は会計帳簿上ではなく事業そのものにあるようだ。

コラムを要約すると、バフェット氏は従来会社のパフォーマンスの指標として純資産を用いてきたが、度重なる買収での事業拡大により投資会社としてよりもコングロマリットとしての側面が強くなったので会社の主な価値が投資顧問業から各事業部門へと移っており、かつ現行の会計基準により実態価値と純資産が乖離していることから近い将来自社株買いを行い純資産の低下を招く可能性があるので、純資産に基づく企業評価は適合性が失われているから今後は重視しなくなるというものだ。また、目先の企業買収の見通しが良くないのでアップルをはじめ他社の株式保有が増えるためそれらの株価変動により純資産も影響を受けるという点も指摘されている。代わりの指標になるのは株価で、これは変動こそ激しいものの長期的には株価と実態価値は一致するという根拠によるものだ。

コラムでは「教えに変化」とあるが、実際は判断指標の変化であってバフェット氏のポリシーが変わったわけではない。バフェット氏の株式選定の基準は、価格決定力やビジネスモデル、長期的展望や経営陣といったものだった。バークシャーはこれらの基準を満たす企業を「安く」買うことで収益をあげてきたのだ。いい会社を安く買って保有するという投資モデルは不変で、これは株式投資の王道である。

過去に買った土地や設備などの資産は帳簿上ではインフレしないので純資産が実態価値とずれるのは今に始まったことではないが、近年これらの乖離が目立つようになったのは製造業からサービス業への主役のシフトが関係しているのではないか。モノ余りの時代になったことによって資本集約型から労働集約型へと経済の変化が進み、いわば会社のYouTuber化ともいえる現象が起きているように思う。すなわち、人々の好みが収益に大きな影響を与える状況だ。人が気に入るか、つまり人気が出ればいい「売れれば勝ち」という時代だ。モノやサービスがどれも似たり寄ったりなので売り出し方、プロデュース力で差が出るとでも言おうか。

現実にツイッターでバズって売り上げが上がったりインスタ映え目当てで動くお金がある。革新性より消費喚起、素晴らしいものより売れるものを作るというか、技術よりも見せ方が大切になってきているようだ。このような状況下では貯めこんだ純資産はあまり意味をなさず、人々がどれほど欲しがるものを作れるかという目に見えない部分が重要視される。会社の実態価値が人気投票で決まる側面が大きくなったとも言えるだろう。

究極の企業判断基準とは収益力だ。過去にどれだけ稼いだか、どれだけ貯めこんでいるかは関係がない。将来どれだけ稼いでくれるか、それが一番大切なのだ。何をしているか、何を持っているか、どんなことができるかなど、企業の良し悪し全てがそこに含まれている。ただしこれは可視化するのが難しい。だが収益力こそ最も重視すべきものなので、銘柄選びをする時は値段に対して収益力の高い会社を選ぶという基本原則は忘れずにいたい。

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