今の日本に必要な政策

日本の衰退は既に始まっているが少しでもソフトランディングするために今の日本に必要な政策を考えてみる。

日本衰退の直接の原因は人口減少と少子高齢化であるがそれが進んだ原因を考えると計画性がなかったり費用対効果や効率を考えられなかったりといった文化的背景も無視できない。古くは一億総玉砕から一億総懺悔、現在は一億総活躍と無計画で根拠のないスローガンがあふれている。杉を大量に植えて花粉症患者を大量生産したり公害が起きるまで対策が出来なかったり官民ファンドで斜陽産業を保護したりと日本政府は必要なことをしなかったり余計なことをするのが得意だ。

日本社会は判断も遅く法令無視も多いので根拠のない無駄な規制や形骸化して守られない法律など非合理が目に付く。最近まで座高という何の役にも立たないものを測り続けていた。法定速度や労働基準法は守られる方が珍しい。それが問題にもならない。現状維持と事なかれ主義がはびこり既得権益を守るための利権と談合が幅を利かせているのが今の日本だ。

予想や予測といったものは元々当てにならないものだが日本政府のそれはもはや希望的観測ですらなくただの願望である。２％のインフレや３％の名目GDP成長と言い続けたり出生率がV字回復したり日本政府の頭の中はお花畑だ。よく見える数字も検証すると大抵数字のマジックで都合よく抜き出されたり解釈されたものだ。中国よりはマシと他人とは比べるが主体性はなくいろいろなことでガラパゴス化が進んでいる。

前置きが長くなったが要は日本政府の問題は無計画で非合理で間違った予測を基に行動してしまうことだ。これを改善するために必要なのは何をおいても小さな政府だ。余計なことはするなということだ。政府はあらゆる分野においてなるべく存在しない方がよいのだ。必要最低限の機能のみを目指せば自ずと政府は小さくなる。だが変化を嫌がる国民性がそれを許さない。今の日本に必要なのは壊し屋だ。

壊すために最も効果的なものは減税だ。所得の再分配が上手く機能していない日本では税金を取れば取るほど格差が拡大する。それは身分の固定化を推進し閉塞感と無力感を生む。そこで国民から盗らない、つまり減税をすることによって格差拡大を防ぐのだ。これで少なくとも余計なことをされるという無駄は減らせる。政府は歳入が減るので必然的に予算の見直しを迫られる。予算は勝手に増えようとするが蛇口を絞ってそれを防ぐのである。予算は減らそうとしても中々減らないがこの方法ならそもそも降ってくるお金が減っているので選択と集中をせざるを得ない。

最低限政府に必要な機能は治安の維持と公平な環境の提供だけだ。文化振興や町おこし、海外へのバラマキや特定産業の保護などは必須ではない。頓珍漢な政府が何かに肩入れすることは歪みを生み出すだけでろくなことがない。そういった政府は警察や司法など必要だが儲けてはいけない仕事、インフラ整備や基礎研究の支援など必要だが儲からない仕事のみに集中すべきだ。中抜きも減らさなければならない。日本ではとにかく単純なことにたくさんの人が関わって複雑にするという無駄が多く中抜き天国だ。例えば町内会や消防団は廃止してよいだろう。ごみ集積所の設置は本来行政の仕事であるし近所付き合いがしたいなら勝手にすればよい。消防の仕事も必要なら全て公務員化すべきだ。

政治家の大幅削減も必要だ。国会議員は今の三分の一でもいいし都道府県議員、市区町村議員も多過ぎる。都道府県知事はよいとしても市区町村長はそんなにいても困る。行政機能を統廃合して街も人も集約してきちんとしたピラミッド構造を作るべきだ。船頭多くして船山に上るを地で行くような権限が分散し責任も曖昧になる今の日本の統治システムでは物事はいい方向には進まない。

小さな政府であれば格差を抑制する政策に加えて格差を是正するような政策も行いやすくなる。統治機構改革も合わさればより国民の意思を反映しやすくなる。所得税制の見直しやベーシックインカムは格差是正に直接働きかけることができる。口だけの地方創生論も所得税や消費税の地方への分配の仕方を変えれば机上の空論ではなくなる。不平等で人口格差の影響をもろに受ける住民税は廃止すべきだ。税制も施政もシンプルな方がいい。国が一旦預かって地方に渡したり国民に還付するような仕組みはなるべくなくす。ふるさと納税など自治体が自ら格差と利権を作り出すような愚策はもってのほかだ。

国にはなるべく何もさせないのが望ましい。政府が存在感を発揮するのはよくない。なるべく国民に任せ国はそれを補助することに徹したほうがいい。減税、規制緩和、行政機能の見直し、統治機能の改善で格差を是正し国民主権を強化して初めて弱者の保護にも手が回る。セーフティネットを真の意味で誰もが利用できるようにすることは競争の促進につながる。それは社員の試用や解雇のしやすさにもつながるし社会の効率も上がる。日本は明治維新にしても戦後改革にしても外圧がなければ何もせず腐敗することが多いがそろそろ国民の手による改革があってもいいのではないか。